ＭＯＫＩ村の世界

ＭＯＫＩ村で結婚式が行われるのは久々の事なので、村中が浮き足立っています。
新郎新婦は、コアラから無事テディベアに戻ったグレイ・ミラーと、困難な状況下で彼を支え続けた聡明な美女ミス・ブルックです。
村の名士でもある彼女の父イーストウッド村長が、真面目で優しいという以外これといって取り柄もないような青年との結婚を快く承諾したのには、深い訳がありました。
名家の一人娘であるにもかかわらず、幼いころからの魔法使い志望という夢を捨てきれないブルックに業を煮やしていた村長からすれば、彼女を現実に引き戻したグレイが、あたかもチャーミング王子に見えたとしても不思議ではありません。
ブルックとグレイが知り合ったおかげで魔法使いサンドラが皆の前に現れた上に、その後継者がトリッキー少年である事まで明らかになったのですから、２人の出会いはＭＯＫＩ村にとってもまさに運命的と言えるでしょう。

パティシエのシュー・ジャックマンは、村人全員が集うこの結婚式の為に、特製ウエディングケーキを作りました。
ハリボテの上に小さなケーキが乗っているだけのいじましいモノでは彼のプライドが許さないので、皆に行き渡るほど大きく、しかも信じられないほどゴージャスな逸品に仕上がっています。
トップに新郎新婦の極小マジパンをあしらった直径２．１センチ、高さ４．７センチのこのケーキ作りには、ミセス・テディはもちろんのこと花嫁修業中のピンキーやパールなど村の若い娘さん達も協力を惜しまず、高所作業においてはクレーンのオペレーターである新郎のグレイまでもが手伝ったということで大変話題になったのです。