ＭＯＫＩ村の世界

ミス・ブルックの父、ケーリー・イーストウッド村長です。
いつまでも子供だと思っていた一人娘が、長年の途方もない夢から覚めた途端、何処の馬の骨とも分からぬ男と結婚すると言い出した時は、ひたすらパニック状態の村長でしたが、天涯孤独の青年グレイに内なる聡明さと、なによりも娘に対する深い愛情を感じ取った彼は、快く２人の結婚を祝福したのでした。
とはいえ、やはり彼も普通の花嫁の父である事に変わりありません。
つまり・・・なんだか面白くないのです。
妻亡き後、再婚もせず村長としての激務と平行して父親の役目をしっかり果たし、あれほどまでに優しく美しい娘に育て上げたというのに、何が悲しくてみつばちというコブつき男にくれてやらなければならないのでしょう。
「つまらんっ」
明日からこの広い居間で寂しい夕べを一人ぼっちで過ごすことに思いをはせ、不覚にも目頭が熱くなるイーストウッド村長なのでした。