ＭＯＫＩ村の世界

ゴールディーは、子供の頃村にやって来た旅芸人一座の芝居を見てからというもの、役者になりたいという大きな夢を持つようになりました。
やがて彼は、細切れに撮影するので演者としては不完全燃焼を起こしそうな映画ではなく、きちんと役に没頭できる舞台の世界を目指すべく、村人達の期待を一身に受けてニューヨークへ旅立ったのでした。
マリリン・モンローも学んだというアクターズ・スタジオで演技の勉強をする傍ら、ヤンキー・スタジアムでポプコーンを売ったり、アニマル・キングダムでディズニーキャラクターの着ぐるみを被って踊る生活が３年余り続いたある日の事です。
先の見えない不安に押しつぶされそうになったゴールディーが、一人寂しくセントラル・パークで湿気たポプコーンを鳩に与えていたところ、向かいのベンチでやはり一人ぼっちの娘さんが物思いに耽っていました。彼女の面差しに、どことなく故郷の村にいる初恋の相手ミス・ブルックを髣髴とさせるものがあったため、彼は自分の悩みなど何処へやら彼女の事が心配で放っておけなくなってしまったのです。
元来陽気なＭＯＫＩ村気質も手伝って、ゴールディーは娘さんの気持ちを引き立てる為、彼女の前に進み出ると思いっきりおどけてみました。
と、その時嵐のような怒号と共に、グリズリーのような毛むくじゃらの手に首根っこを掴まれるや思いっきり遠くへ投げ飛ばされてしまったではありませんか！？