姉のお下がり
ピンキー・ホールズの姉は、ハリウッドで大成功を収めたスノー・ホワイト(芸名)です。
姉妹仲の良い2人は、昔から何もかも打ち明けあってきましたが、それは離れ離れになった今でも変わりがありません。
姉は、映画界における陰湿な苛めや誘惑の恐ろしさ、そして本当にやりたい役を獲得する難しさ等を手紙に書いて寄越し、妹は村の様々な出来事や自分の恋の悩みについてあれこれ相談しているのです。
先日ピンキーが、2人の男性にプロポーズされている事と、村でファッション熱が異様に高まっている状況を知らせたところ、今朝スノーから大きな荷物が届きました。
以前里心のついたゴールディーが宅配便の中に入って帰郷した事が頭に浮かび、思い出し笑いをしながら箱を開けると、そこには姉の抜け殻、すなわちお下がりのドレスがぎゅうぎゅうに詰まっていたのです。
「ハリウッドでは、1度着たものは2度と袖を通すわけにはいかないし、チャリティ・オークションに提供するのも数が限られているのよ。だからピンキー、あんたが着てくれたらどんなに嬉しいかしら。それに、めかしこんだあんたを見たら、2人といわず村中の男たちの目が釘付けになるにちがいないわ。」
昔は大好きな姉のお下がりが嬉しくてたまらなかったピンキーですが、女優のドレスとなると話は別です。
オスカー・ナイト用のシルバーのミニ・ドレスにキングコングに捕らえられた女の人が似合いそうな鞘型のシフォン、はたまた胸が大きくくれたサテンのロングドレスなぞ、一体全体このMOKI村の何処に着ていく場所があるというのでしょうか?
大量のドレスを前に、ピンキーは泣きたい気持ちをぐっとこらえているのでした。
「サマンサの衣装だったらハロウィンで使えたのに・・・」
この時ばかりは、姉がライバルの二コール・キッドマンであったらと思わずにはいられないピンキーなのでした。
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