ピンクのキキモラ
黒猫のキキモラは、ほんの腕試しのつもりとはいえ、グレイ・ミラーやドン・クリスチャンセンを酷い目に合わせたので、サンドラの所へ戻れなくなってしまいました。
実はネイビー・ディップが拾った卵も、本当は彼が恐竜の化石に魔法をかけたものなのですが、事件性がない事と、生まれたヒヨコが何も語らないので、当面は安心していられそうです。
何はともあれ、家に帰りたくてたまらないキキモラは、クリスマスに名誉挽回をするべくサンドラへのプレゼントを買いに、ライス・ライターの工房を訪ねる事にしたのです。
無口で変わり者のライスが、案の定彼を見ても眉一つ動かさず、黙ってサンタの服を着たピンクの猫の置物を渡してくれたので、キキモラはなぜかこの男に、自分と同じ匂いを感じ取りました。
両親を亡くし孤児院で育った彼を養子にしてくれたサンドラは、当時は美しいピンク色の猫でした。
後日、魔力を高める為に体毛を金色に染めたのですが、天涯孤独のキキモラが、出会った頃の彼女の姿に愛着を持っているとしても全く不思議ではありません。
愛する者と同化したいという思いで自分の体毛もピンク色に変えたキキモラは、クリスマスにサンドラを驚かせるのが待ち遠しくてならないのでした。
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