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2005年11月24日 (木)

ネイビーは雪だるまを作る

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darumagousei

幼い時に両親が離婚をして親戚をたらい回しにされたせいなのか、ネイビー・ディップは何者も信用することが出来ません。
大人になってからは父親の莫大な借金を背負わされ、手っ取り早く返済するために始めたトレジャー・ハンターの仕事ですべてを清算したものの、厭世観にとらわれた末逃げるようにやって来たのがMOKI村だったのです。
親しい友達も作らず、珍しい物を集める趣味に没頭するネイビーを、村の住人達は思いやりを込めてこう呼ぶのでした。
「オタク」と。
そんな彼が、泉のほとりで見つけた珍しい卵から生まれたジャイアント・コーンと暮すうちに、優しい表情を見せるようになってきました。
暖炉の暖かさが幸いして孵化したジャイアントは、この世で初めて見たネイビーを親であると認識し、彼の後を何処へでもついて行きます。
最初のうちは、そんなひよこがうっとおしく、卵を暖炉の上に飾った己の愚かさに舌打ちしたいような気分のネイビーでしたが、責任感の強さから一生懸命世話をしているうちに、自分では理解し難い感情が芽生えてきたのです。
ひよこの健康に気を配り、清潔な環境を保持し、寂しい思いをさせないよう配慮するネイビーの様子に、村の住人達は目を細めながらこう言うのでした。
「父性愛」と。
クリスマスの朝、前の晩に積もった雪を見てはしゃぎまわるジャイアントのために、特別大きな雪だるまをこしらえるネイビーの姿には、もはや孤独な男の影など微塵も見当たりません。

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