チョコ・ブラウニーのプレゼント
チョコ・ブラウニー・スペンサーは、甘いものが苦手だという事に無理解な母親から逃げ出し、今はサーカスで知り合ったデリ・バリーの家で世話になっています。
テディ島の対岸にある氷に閉ざされたアストレイア島では、大勢のペンギンと白熊達が仲良く暮らしているのですが、近年漁獲量が減った事でデリのように出稼ぎに出る者が少なくありません。
父親不在の寂しさを理解できるチョコ・ブラウニーは、島の子供達を集めて得意な木工を教えたり、自分の経験した話を聞かせたりしているうちに、いつしかこの地で教師になる夢を抱くようになりました。
島民達が幅広い知識や技術を習得すれば、出稼ぎ先で思うような職に就けるだけでなく、この島自体がもっと豊かになる可能性も広がると思ったからなのです。
クリスマスが近づいたある日、島の中心部にある広場にサンタクロースがやって来て、子供達から欲しい玩具を聞き出すイベントが行われた時、彼はサンタに扮したサン・フラワーにこう言いました。
「サンタさん、ママに僕からのプレゼントも渡してもらえますか?」
チョコが差し出したのは、この島に来てからこつこつと作り上げた赤い屋根のドールハウスでした。
「これを君のママに?」
「はい。ママはずっとドールハウスを欲しがっていたんです。」
クリスマスに息子からのプレゼントを受け取ったミセス・テディは、喜びと安堵感で久しぶりに晴れやかな気持ちに包まれました。
「チョコは、随分大人になったのね。」
添えられたカードには、長い間心配をかけたお詫びと共に、奨学金を得て大学に進み将来は教師になりたいという希望が書かれていました。
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