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2005年12月 1日 (木)

フランク・ホールズのクリスマス

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フランク・ホールズは、妻のアリスンからクリスマスに手編みのひざ掛けを贈られました。
結婚して二十三年の歳月が流れ、夫婦二人だけの時間を持て余していた矢先の事だったので、驚きのあまりもう少しで腰を抜かすところでした。
姉娘のスノーは女優業に忙しく帰郷もままならず、妹娘のピンキーは青春真っ只中で、父親のフランクと口もきいてくれません。
アリスンにいたっては、お気に入りのスノーが家を出てからというもの、寂しさのはけ口を求めているのか、彼をサンドバッグの様に扱ってきます。
元来口数が少なく穏やかな性質のフランクは、何を言われてもニコニコしているのですが、それがまたアリスンの癪の種になるらしく、独り相撲の喧嘩を飽きることなく仕掛けてくるのです。
勤務先の村役場で、新婚のグレイ・ミラーがブルックの作った愛妻弁当を開く度に、ピーナツバターのサンドイッチをほおばりながら、昔の可愛かった妻を思い出してため息をつくフランクなのでした。
そんなわけで、クリスマスにスノーが帰ってこないと知った後落ち込んでいたアリスンが、ある日を境に気味が悪いほど優しくなり、極め付けに手編みのひざ掛けをプレゼントしてくれるとは、いったいどういう風の吹き回しなのか、フランクには皆目見当もつきません。
「まあ、いいさ。どちらにしてもかまわれている事に変わりはないんだから」
お気に入りのロッキングチェアに座り、妻の編んだひざ掛けに暖かく包まれてまどろむフランクの顔は、とても幸せそうに見えるのでした。

usagitoisu

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