ソファで刺繍
クリスマス以来、リアン・クリッキーは情緒不安定な日々を送っていました。
家を出たきり帰る気配もない画家の夫を持つ苦労に加え、父親以上の才能を息子に見出した今、ひとりぼっちになるのではという強迫観念が彼女を捕らえて離さないのです。
家事全般を放棄し、急に泣き出したかと思えば次の瞬間怒鳴り散らすといった有様で、みかねたミセス・テディがトリッキーを預かると申し出たほどでした。
出来合いのパンケーキにはちみつをかけただけの簡素な食事にも不満を見せないトリッキーの健気さを指摘するミセス・テデイの目には涙が溢れていました。
「あなたは私の二の舞を踏みたいの?」
ようやく目が覚めたリアンは、気晴らしとして娘時代に没頭していたフランス刺繍を再開することにしたのです。
単調で根気の要る作業ですが、刺繍や編み物には人の心を落ち着かせる作用があります。
その昔、美術学校で知り合った夫デニスと、お互いの色彩感覚やクリエイティブな才能に惹かれあい恋に落ちた事を思い出しながら、一針ごとに彼女の心は平穏を取り戻していくのでした。
「私達二人の子供だもの。トリッキーが芸術の神様に愛されても不思議ではないわ」
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コメント
クマの刺繍が 1円玉より小さい…
momoukiさんも、こういうミニチュア作ってるときって
おだやか気分ですか~?(*^_^*)
投稿: yun | 2006年1月21日 (土) 11時06分
yunさま
集中してるって感じです!(^^)!
邪魔されるとムキッとなるので人間が出来てません(-_-;)
投稿: momouki | 2006年1月21日 (土) 11時11分
ムキッ!!
わかりますよー。私も自分のペースを崩されると 心の中が大騒ぎです(笑)
「なによー、私は今コレやってんのよぅ。見てわかるでしょー。気を使ってよー」
ぐらいなこと思って 一瞬顔に出そうになって 後で後悔(^ー^)
人間ができてません(笑)
投稿: yun | 2006年1月23日 (月) 02時02分
↑で一安心(#^.^#)
人間が出来る日は何時になることやら・・・(^^ゞ
投稿: momouki | 2006年1月23日 (月) 11時30分